里親&子連れ再婚 ・・・ みたいな感じ

掲載日:2016.10.18


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 「雪虫」を見ました。まもなく雪が降るのですね。と言っても、本州の人には「何のこと?」でしょうね。北海道の雪のように「フワッとした」小さな白い虫が飛び始めると、「間もなく雪が降るしるし」と北海道民(少なくとも私の周りの人たち)は思っています。

 以前にお伝えした、保健所から引き取った子猫とその後の話です。
  シラミまみれのため段ボールスペースに隔離していた時にも、できるだけ触れ合うようにはしていましたが限界がありました。生まれてまだ2週間で十分な触れ合いが必要な時に、人肌にも猫肌にもほとんど触れることができずに過ごさせざるを得なかったことがとてもかわいそうでした。
 サチと名付けた子猫は、そんな2週間の隔離の末、やっと段ボールスペースから出すことができました。今は家じゅうを走り回っています。
 去年から家族になっている先輩の「こじ」は、威嚇することもなくサチに優しく接します。そんな「こじ」にサチは、容赦なくやんちゃをしかけます。何にでも興味津々のサチは、「こじ」がお昼寝をしていても飛びかかっていきます。
 その程度なら「子猫だからしかたがないか」と思いますが、サチはどうやら噛みつく癖があるようです。段ボールスペースの中で、どうしても触れ合いが足りなかったからか、サチは段ボールをよくかじっていました。その癖なのか、それとももともと噛みつく性質なのか、サチは噛みつきます。
 「こじ」が優しく舐めてくれている時にも、「こじ」に噛みついて「こじ」が悲鳴をあげます。サチにとっては、舐めるよりも噛みつくことがコミュニケーションなのかもしれません。
 人間と同じに言っては批判を受けるかもしれませんが、20年以上前に出会った少年を思い出しました。彼は母親に虐待されていた子で、彼のコミュニケーションのしかたは「暴力」でした。優しく関わられる体験の無かった彼にとって、人との関わり方は「暴力」しかなかったのです。少年がその後、人の優しさに触れて人間らしいコミュニケーションを身につけられることを願うしかありませんでした。
 サチも、私と娘、そして「こじ」とで辛抱強く優しく接して、噛みつく以外のコミュニケーションの仕方を知ってほしいと思っています。
 おまけにこのサチ、ものすごく大食いです。そして常にお腹をすかしています。こんなに良く食べる猫は、我が家では初めてです。グングン大きくなってできることが増えていくのを見るのは楽しいですが、椅子に飛び乗ってテーブルに乗れるようになると、私たちの食事まで食べようとします。「こじ」はそんなことは一度もありませんでした。まだカリカリをふやかした柔らかいエサを食べているくせに、一時目を離したスキにカイワレ大根や肉に食らいつき取り上げようとすると「ウー」とうなり声まであげます。かなりきかんぼうな子です。
 更に、サチはシラミを初めとして感染症をいくつも持っていました。病院通いが続き、そのたびに「こじ」も感染した疑いのために薬を塗られたり飲まされたり注射をされたりしました。「こじのため」と思ってサチを飼ったのに、現実は「こじ」にとっては本当に「いい迷惑」となったようです。
 サチは、客観的に見ると見た目もそう可愛くありません。(こんなことを言うと、溺愛している娘に叱られますが。) 見た目も可愛くて、性格も良くて、温厚で、大食いでなくて、食い意地はってなくて、病気や感染症もなく健康で、「こじ」と仲良く舐め合う。そんな猫が良かったな~。残念ながら、サチは真逆です。(笑)
  これもまた人間にしちゃいますが、まさに里親さんと同じように感じます。乳児院や児童養護施設から子どもを引き取って育てる里親さん。「可愛くて、性格も良くて・・・」なんて希望はほとんど叶うこともなく、大変な子どもたちを育てていることが多いようです。あくまで子どものための制度ですから、里親側の希望なんて言えない。それでも、虐待されるなどして普通の子よりも育てるのが難しい子どもたちに、大きな愛情を注ぎ育てている里親さんたち。頭が下がります。
 そんな里親さんたちとは比べようもありませんが、私もサチを辛抱強く愛情を持って育てていこうと思います。
 ただ、「こじ」が少しかわいそうです。小さなサチに大きな「こじ」が追いかけまわされます。サチにいつ噛みつかれるかわからず、これまでの安心な生活が脅かされています。「こじ」のウールサッキング(異食症)が少しでも和らげばと思ってサチを飼ったのに、かえって「こじ」にはストレスになったようです。一時期「こじ」のウールサッキングが悪化して、私のカーディガンやクッションなどが食べられてしまいました。
 最近ではしつけのためか(?)、「こじ」もサチを追いかけたり噛みつくサチに反撃をするようになってきました。サチはすぐに悲鳴を上げるので、サチを溺愛している娘が心配します。私はまるで「こじ」が私の連れ子で、サチは新しい夫との間に生まれた子であるかのように、夫(娘)に気兼ねして「こじ」を叱ります。そしてさりげなく、「サチも悪いのよ」と夫(娘)に言う・・・という感じです。きっと子連れで再婚した人は、こんな感じなんだろうな、なんて勝手に思ってしまう最近の私です。
 それでもサチがまだ小さいので、「こじ」はサチが寝ている時などにサチをなめています。サチも、いよいよ眠くなると「こじ」のところに行ってなめてもらいながら眠ります。少しずつ2匹で一緒に遊んだりお昼寝ができるようになってきました。二匹がくっついて寝ている姿を見ているとキュンキュンします。こんな光景が増えていくといいな。
 猫を通して、「里親」体験と「子連れ再婚」体験をしたような気分を味わっている最近の私です。