チャレンジしている私たち
掲載日:2015.10.14
時々このコラムに登場する友人のCは、下の子を産んで2ヶ月の時に原因不明のまま突然体が動かなくなり四肢麻痺という状態になりました。今は右半身はほとんど動かず、懸命のリハビリで左半身は不自由ながら多少は動くようになりました。その後離婚を余儀なくされ、時に人の手を借りながらも一生懸命に育てた子どもたちも自立し、彼女は車椅子を利用しながら一人暮らしをする50代となりました。
先日彼女と一緒に出掛けた時に、「ノートを買いたい」と言われました。理由は「字の練習をしたいから」とのことでした。20年以上前に字を書くことをあきらめた彼女でしたが、今彼女は字が書けるようになりたいと強く思っています。
きっかけは先月行った私のセミナーだったそうです。セミナーは前回から『読書会+α』という形になりましたが、次回はそのαを参加者の一人Mさんのパステルアートを体験してみようということになりました。これまで私のセミナーでは、私の持っている面白い楽器をみんなで使ってみたりしたこともありました。そんな時にCはいつも「自分にはできない」と引く気持ちを抱えていたと言います。しかし私のセミナーに参加し続けているうちに、特に前回から学ぶことの素晴らしさに気づいてからは、セミナーの全ての時間を堪能したいと思うようになったようです。一時もマイナスの気持ちでいたくない。だからパステルアートの時間もちゃんと参加したいと思ったそうです。
そしてセミナーではこれまでメモを取ることもしなかった(できなかった)けれど、大切なことをメモして後で振り返ることもしたいと強く思ったそうです。とにかく今Cは学ぶことに貪欲でいます。課題図書も何度も読み返しています。別な本を読む時にも、以前とは深みが違って理解できるそうです。たぶん参加者の中で彼女が一番真剣に学びを深めていると思います。若い頃はヤンキーで勉強は嫌いだったという彼女が、「セミナーを通して学ぶ大切さを知った」と言ってくれることは私にとってもうれしいことです。
新しいノートに彼女は今、不自由な左手で線を引く練習をしています。罫線をなぞって線を引く練習です。そしてその線の間に○を書く練習を毎日しています。ちゃんとした○を描けるのは何十個に一個だそうです。今までは『百均』で済ませていたかもしれないことを、今回は「大切なことだから」とノートもステキなものを選び、奮発してネットで24色の色鉛筆を買って色を楽しみながら練習をしています。
「学ぶことが楽しい」「セミナーの時間を全て堪能したい」という気持ちが、20年以上前にあきらめていた「字を書く」ということへの強いモチベーションになって彼女の背中を押しています。彼女は今、キラキラしながらすごいチャレンジをしています。
同じくセミナーに毎回何時間もかけて参加してくれるMさん(今気づきましたが、セミナー参加者にイニシャルMさんは4人もいます!)は、先日手話の試験を受け、来週更に上の試験を受けるそうです。「手話の勉強をしていくにつれて、ろうあの人たちが差別と闘いながら生きてきたことが分かり、いかに世の中に差別があることかということに気づいてきました」とメールで送ってくれました。「みんなが笑って暮らせる世の中になってほしいと願います」「自分にできることからやっていきます」と彼女は伝えてくれました。
こんなふうに、それぞれがチャレンジしていること、学びを深めていっていることをうれしく思います。次回パステルアートを体験させてくれるMさんも、仕事一筋の優秀な営業ウーマンでしたが、私のコーチングを受けるようになって新たな可能性に目覚めていった人です。そしてもう一人の別なMさんも、長年続いている過酷な職場を自分らしさで優しく変革しているチャレンジャーです。みんな凄くてステキです。
本当は今日、私のチャレンジを書くつもりでいましたが、みんなのすごさに圧倒されています。それで、ちょこっとだけ私のチャレンジも書かせてくださいね。
私はいつの頃からか歌う時に周りの人たちと音程がずれていたり音が出なかったりするような気がして、それ以来何十年も人前で歌うことは避けてきました。やむをえず集団で歌わなければならない時には、クチパクでごまかしてきました。いつも心のどこかで「私は歌がヘタ」と思っていました。
でもね、やっぱり歌いたい。人前で歌わなくても、好きな歌を思い切り歌うことを楽しみたいと思うようになりました。それに、人の可能性を広げるお手伝いをしている私が自分の可能性を縮こまらせてどうする!という気持ちもあり、歌うことにチャレンジすることにしました。「歌はチャレンジするものじゃなくて、楽しむものだよ」と突っ込まれそうですが、私にとってはチャレンジだったんです。
誰にも言わず月に2回歌のレッスンを受けてきました。そして今回まさかの人前で歌うことになりました。私が通っている教室では、年に一回練習の成果をご披露する発表会があるそうなんです。それにエントリーすることにしました。ずっと人前で歌うことを避けてきた私にとっては大きなチャレンジです。でも、心を込めて歌いたい歌があったから、頑張ってきました。初チャレンジにしてはかなり難しい曲を私は選びました。高音も低音も初めは全く出ませんでした。今も心もとないところです。でも、この歌が歌いたかったから私は練習し続けてきました。
11月8日(日)にご披露します。「聴いてみよう」という奇特な方はご連絡ください。場所と時間をお知らせします。(ぎゃー、恥ずかしい!) でも、可能性にチャレンジするって、大変さはあっても楽しいよね! チャレンジしているみんな、頑張ろうね!