年末年始は実家に帰る?

掲載日:2023.11.06


今の時期は、「年末年始に実家に帰る問題」で
気持ちが落ち込んでいる人が少なくないようです。

私のクライアントさんのみならず、私の周りの人たちも
「実家に帰ると思うと気が重い」とか「夫の実家に帰るのが憂うつ」など
という人がけっこういます。

もちろん久しぶりに家族みんなで会うことが楽しみな人もいて、
それは本当にステキなことだと思います。

中には「自分の実家より夫の実家の方が居心地がいい」という人もいます。

どこで過ごそうとも「どよ~ん」とした気分でお正月を迎えるのは残念ですね。

少し前、私がぎっくり腰になる1週間前に娘が東京から帰ってきました。
同棲している彼もいっしょです。

娘は年に3回ほど帰ってきますが、
「飛行機が混むし料金が高いから」とお盆や年末年始は避けます。

私も「お盆や年末年始には帰ってくるべき」とも思っていないし、
むしろ年末年始は一人でいつも以上にゆったりとのんびりと過ごしたいので、
娘がその時期に帰ってこないことは何の問題もありません。

娘は自分のペースとタイミングで、
一人で帰ってきたり今回のように彼と一緒だったり友人と来ることもあります。

事前に「○○頃に帰ろうと思うけど、お母さんの都合はどう?」と聞いてくれます。
私の方も「その日はテニスに行く日だから勝手に入って待っててね」などと
こちらの都合も伝え、お互いに無理のないように調整します。

「良いお母さん」なら、娘が帰ってくるなら自分の都合はさておいて、
娘の都合に自分を合わせごちそうを作って待つという人も多いかもしれません。
でも私は、娘の都合も尊重しますが自分の都合も大事にします。

どれが「正しい」ということもなく、それが「我が家のやり方」です。

「年末年始」と言えば、子どもに高圧的だったり否定的だったりして
子どもの人生を傷つけてきた親に限って、「年末年始には帰ってくるべき」
という信念を持っている人が多いなと感じます。

私のクライアントさんたちも、「年末年始のことを考えると憂うつになる」人が多いです。
そこで私のセッションを受けると、
「年末年始に実家に帰らない」という選択をしてもいいことに気づきます。

お正月から辛い気持ちで母親からの否定的な言葉や罵倒に身をすくめていなくていいのです。

「あなたが過ごしたいように過ごしていいのよ」という言葉を
初めて私からかけられて、「そうしてもいいんだ」と気づきます。

でもそうしようとすると、恐怖がやってきます。
「帰らない」という選択に対する母親の怒りや罵倒が返ってくることが予想されるからです。

恐ろしいですよね。
長い間、そのような母親の態度にさいなまれて言いなりになってきたのですから、
その道から外れるなんて、「そうしたくない」なんて自分の意志を伝えることは怖い。

そこを私が支えていきます。
「年末年始」は、クライアントさんたちが親の支配から抜け出る重要な第一歩となり得ます。

陰で(?)そんなふうに親のマインドコントロールを解いていると知られたら、
私はいつか毒親さんに刺されるかもしれませんね(笑)。

我が家の話に戻すと、今回の3泊4日の帰省でも娘たちはほとんど家にはいませんでした。
長野旅行で知り合った漁師さんから「北海道に帰ったら遊びにおいで」と言われていて、
泊りがけで遊びに行って、豪快な漁師の世界を垣間見てきたようです。
刺激的な体験をたくさんしてきたようです。

娘の彼氏は7歳年下です。

娘が六本木ヒルズの39階の外資系企業に勤めていた時に、
40階にいた彼から声をかけられたのが始まりということでした。

娘は最初、彼からのお誘いを断っていたようですが、
めげない彼からのアプローチに一度ランチに行ってみたら、
意外と話がはずんで付き合ってみることになったそうです。

付き合い始めた頃に娘から電話が来て
「年下とは思っていたけど7歳も下だった」
「これって犯罪じゃない?(笑)」と言ってきました。

私は、「何を言っているの」「7歳なんて最高じゃない!」
「私は7歳年上で失敗したから『今度は7歳年下にしてください』って神さまに頼んでおいたのに、
神さまはオーダーを間違えてあなたのところに持って行っちゃったのね」と言いました。

「じゃあ、お母さんのオーダーしたものを私がいただきます(笑)」と言って、
娘は彼と本格的に付き合い始めました。

付き合ってみると二人はとても気が合うようでした。
彼の興味があるイベントに一緒に行ったり、
アウトドア派の娘が主導してキャンプや渓流下り、グランピングなどを楽しんだり。
二人で旅行にもよく行きます。

そして一緒に住むようになって2年になります。
「男」とか「女」に関係なく、家事も家のことも二人で協力し合っているようです。

甘やかして育てたつもりはありませんが、
一人っ子だったせいなのか、
娘は自分の思い通りにならないことがあるとちょっとカリカリします。

それを彼は「まあまあ」と穏やかにおおらかに受け止めてくれます。
「いい人に見つけてもらえたな」と私は感謝しかありません。

そんな彼のことを「どんな人?」と聞かれると、
私は「普通の人」と答えます。

本当に、良い意味で「普通の人」です。
娘と一緒に北海道に来たのは今回で3回目なのですが、
初めて会った時にも多少の緊張はあったと思いますが、
それほどの緊張感もなく、かと言って自分を大きく見せようとすることもなく、
最初から「久しぶりに会った近所の子」のような雰囲気の彼でした。

そんな彼なので私もさして気を使うこともなく、迎え入れることができました。

そんな彼と私の今回のエピソードが一つあります。

私はいつも自分で髪をカットしています。
美容室で待つ時間や美容師さんの営業トークに合わせるのも好きではなく、
ベリーショートなので2,3週間でカットをしたくなります。

そこで自分でカットをするようになりました。
後ろ髪は、合わせ鏡をすると右左が訳が分からなくなるので、
いつも鏡を見ずに適当に切っています。

後で確認すると「あちゃー!」というひどい状況になっていることもありますが、
後ろは自分では見えないのでいいことにします。
(これは「年の功」の図太さでできる技です。)

以前、娘が帰ってきた時に後ろ髪をカットしてもらったらなかなか良かったので、
今回も「カットして」と頼んでいました。

でも当日になったら「いろいろやることがあって忙しい」
「ケンゴにやってもらったら?」と冗談半分で娘が言うと、
彼が「僕で良かったらやりますよ」と言います。

私も軽いノリで「じゃあ、お願いしようかな」ということになりました。

「初めてだけど、いいですか?」と聞く彼に、
「私が適当に切るよりはマシだと思うから大丈夫よ」と答えて、
にわか美容師さんの誕生です。

普段はIT系の管理職をしている彼の丁寧な仕事ぶりも感じることができ、
「娘の彼氏に髪を切ってもらう」というあまりないシチュエーションを楽しみました。

「人に必要以上に気を使わない」、したがって「こちらも気を使わなくて済む」。
いつも「普通の自分」でいられる彼の『安定感』。
きっと良い育ち方をしたのだと思います。

娘と彼は今のところ「結婚」という形をとるつもりも、
「子どもを持つ」という選択もしないようです。

いじめがあっても学校や教育委員会は保身ばかりで子どもを守ってくれないし、
社会に出てもブラック企業が多いし、
人間関係もますますストレスフルになっているし、
地球環境も悪化するばかりだし、
こんな社会に子どもを生み出すなんて「子どもに申し訳ない」と言います。

それを聞くと、私は納得するばかりです。

私自身は「いたらかわいいだろうな」とは思いますが、
「どうしても孫が欲しい」とは思っていません。

もともと血のつながりに重きを置いていない私は、
「自分の孫」にこだわりがありません。

今「生」を受けている子どもたちを、血のつながりに関係なく
社会全体で大切に育てればいいのに、といつも思っています。

ただ、彼のご両親はそんな二人の選択にがっかりしているだろうなと思います。
彼のご両親は、「孫が欲しい」と思っているようです。
そこだけ、彼のご両親に申し訳ないなと私は思っています。

二人で決めたこととは言え「家事は平等」だし「結婚しない」「子どもは持たない」
なんて言っている「7歳年上の息子の彼女」のことを、
彼のご両親が快く思わないとしても仕方がないなとも思います。

ところが、娘は彼のご両親やお祖母ちゃんにかわいがってもらっているようです。

男の子あるあるですが、彼は実家に顔を出すことがほとんど無かったようです。
でも私の娘は、彼のお祖母ちゃんやお母さんにも「一緒に行きませんか」と
時々旅行やピクニック、温泉などに誘うので、
これまでそんなことがなかった彼の家族は喜んでくれているようです。

車で30分ほどのところに彼の実家があって、
働いている二人の元に彼のお母さんがよくおかずを届けてくれると言います。

まあ、おかずを届けてもらったりお洋服を買ってもらったりしているうちに
いつのまにか外堀を埋められて(笑)、
「子どもを持とう」ということになるかもしれません。

どちらにしても私は彼らの選択を尊重します。
大事なことは二人が納得して、幸せであることですから。